Exective Commitee

そこで生えているプロジェクト実行委員会

馬場正尊

馬場正尊

OpenA代表

佐藤直樹さんとの長い付き合いの中で、忘れられない瞬間がある。小さな喫茶店でミーティングをしていたとき、なぜかウルトラマンの怪獣の話になった。バルタン星人はどんな形してたっけ?というどうでもいい会話の中で、佐藤直樹はボールペンでそこにあったナプキンに記憶を辿りながら、すらすらとバルタン星人を描いていた。それがあまりに正確で、その迷いのない線はあまりにすっきり美しく、そして描くスピードが異様に早かったのに驚いた。その時、目の前にいるこの人は平面を描くと言う意味において天才の領域にいる人で、デザイナーというのはその一部でしかないんだな、と思った。
今回の展覧会は、今までデザイナーという色に隠れてしまっていた本来の佐藤直樹が改めて姿を現す、その時なのだと思う。
3331の廊下で一心不乱に描いている姿にはどこか狂気すら感じるが、それが佐藤直樹の本来の姿でもあるだろう。
佐藤直樹の体内にある世界が一体どのようなものなのか、それを楽しみに待ちたい。

Profile

1968年佐賀県生まれ。1994年早稲田大学大学院建築学科修了。博報堂で博覧会やショールームの企画などに従事。その後、早稲田大学博士課程に復学。雑誌『A』の編集長を経て、2003年OpenA Ltd.を設立。建築設計、都市計画、執筆などを行う。同時期に「東京R不動産」を始める。2008年より東北芸術工科大学准教授、2016年より同大学教授。建築の近作として「観月橋団地(2012)、「道頓堀角座」(2013)、「佐賀県柳町歴史地区再生」(2015)など。近著は『PUBLIC DESIGN 新しい公共空間のつくりかた』(学芸出版,2015)、『エリアリノベーション 変化の構造とローカライズ』(学芸出版,2016)

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